西アジアの野球

近年、密かに盛り上がりをみせる西アジア、そして中東地域の野球。

日本人には、馴染みがない地域なので、この事実に驚かれる人も多いかもしれない。

西アジア地域の野球環境整備は、パキスタン野球連盟会長兼西アジア統括ディレクターを務めるシャー氏(2018年1月永眠)が行ってきている。

ネパール、イラク、アフガニスタンは彼の後押しがあり、アジア野球連盟に加入した。

そして、今年度行われた西アジアカップでは、パキスタンとの国際情勢不安から参加が懸念されていたインドも、16年ぶりに国際大会復帰を果たした。

この他、今年の西アジアで準優勝を果たしたイラン、そして今年度から東アジアカップに行ってしまったスリランカが西アジアでは野球が行われている。

興味深い各国の野球事情

イラク、アフガニスタンにはパキスタンの若手コーチが派遣され、ネパール、イラン、スリランカでは日本人が野球普及に努めている。

しかし、西アジアにおける野球の知名度は皆無に等しく、各国の野球人口は多い国で500人前後で、政府からの援助がほとんどない。

私は今年の3月までイラン代表監督を務めていた。

野球普及・発展のために、約8ヶ月滞在イランに滞在し、約20都市を1〜2週間ずつのペースで足を運び野球を伝えてきた。

各地域で、全世代の練習を任され、毎日違う時間帯で慣れないイスラムのルールの元で指導を続けた。

野球をする環境は、パキスタン同様に厳しいが、どこの都市を訪問しても野球が大好きな人々が温かく迎えてくれた。

イラン代表監督からパキスタン代表監督へ

西アジアカップを最後に代表監督の契約が満了になり、その後パキスタン代表監督として契約した。

私がこの地域と関わり合いを持って2年、スポーツの持つ可能性と力に魅了されている。

各国が隣接するこの地域では、長年、政治的にも国内外で様々な問題を抱えてきた。

しかし、スポーツを通して交流をする時の彼らの態度・振る舞いは、各国間の問題を忘れさせてくれる。

皆が競技スポーツ特有の緊張感を楽しみ、スポーツ本来の魅力に突き動かされている。

国際大会中は、同じ場所で、同じ釜のものを食べる。

きっとこの光景は、近年の争い等の中東諸国の報道だけを聞いている世界中の人々が信じる事ができないと思う。

スポーツには、利害関係を超えて、喜怒哀楽を共有し、絆を深める力がある。スポーツが、世界を平和へ導いてくれるかもしれない。

2015年11月25日掲載記事より抜粋